リスクリバーサルとは?購入率を上げる返金保証の活用法

リスクリバーサルについて
リスクリバーサルとは、マーケティングにおいて顧客が商品やサービスを購入する際に感じる不安やリスクを、売り手側が解消または軽減することで、購買を促進する戦略を指します。
特に初回購入においては、その商品やサービスに対して口コミや一定の評価があったとしても、不安が残るため二の足を踏みがちです。
リスクリバーサルをすることで、商品やサービスを購入するハードルをぐっと下げ、売上アップを狙うことができます。
主なリスクリバーサルの例
- 返金保証「30日間全額返金保証」
- 満足保証「満足いただけない場合は全額返金」
- 交換保証「購入から◯年以内の故障は新品に交換」
- お試し期間「1週間無料おためし」
この中でも返金保証や満足保証は「自社の商品やサービスに自信がある」というメッセージにもなり、ブランドの信頼性が高まります。
代表的なサービス
上記の4つのリスクリバーサルの例で代表的なものをご紹介します。
■返金保証の例
会員制倉庫型店 コストコ(Costco Wholesale)の返品保証、年会費保証
・購入期間に関わらず返品可能
・レシートが無くても会員情報から購入履歴確認
・食品でも「満足できなければ」返品可能
・家電・電子機器は90日以内、他は期限なし
・コストコのサービスに対して満足できなかった場合、年会費を全額返金(有効期間内である必要あり)
※2025年5月現在。最新の条件などはコストコホールセール公式HPよりご確認ください
(https://www.costco.co.jp/)
海外から参入の倉庫型マーケットでなじみの無い方が多い中、返金や返品可能なリスクリバーサルによって初回購入への障壁を減らしています。特に食品の返品が他には無い特長となります。
■満足保証の例
フィットネス・スポーツクラブ/ジムのルネサンス
クラブを利用されて満足いただけない場合に、入会金・事務手数料・会費を返金。
・ウエアなど物販関連は返金の対象外。
・入会キャンペーン特典も違約金なしで返金。
・新規でフィットネス会員・スクール会員にご入会いただく方が対象。(重複入会・復会の方及び一部のコーポレート会員は対象外。)
・本制度をご利用された場合、同一クラブへの再入会は不可。
※その他返金条件あり。
※2025年5月現在。最新の条件などはルネサンス公式HPよりご確認ください(https://www.s-re.jp/)
初期費用や毎月の利用料などでコストが高くなりがちなスポーツジムですが、サービスに満足できなければ返金というリスクリバーサルを取り入れることでサービスに対しての自信をアピールすることができ、入会のハードルを下げています。
■交換保証の例
電気製品メーカーなどの多くがこの保証をつけています。
購入した商品に不具合が発生した場合、修理や新品交換の対応となります。
製品保証は多くが購入から1年間、延長保証などで2〜5年の場合も。
「すぐに壊れたらどうしよう」という不安を拭い、購入しやすくなる効果があります。
■お試し期間の例
多くのサブスクリプションサービスにお試し期間が設定されています。
Amazon Prime Video/Netflix/Disney+/U-NEXT/hulu/Spotify/Apple Music など
どのサービスでも「最初の◯週間無料、◯ヶ月無料」など、お試し期間が設定されています。
最初にサイトへの登録手続きも済ませてしまうため、継続する場合のハードルも下がります。
リスクリバーサルのメリット・デメリット
色々なリスクリバーサルの例を見てきましたが、その効果はどうなのでしょうか。
メリット・デメリットについて下記のようなものが挙げられます。
[メリット]
◯購入率の向上
「買って損をすること」のリスクを取り除くので見込み客の購入決断が早まります。
また、注文途中での離脱率が減り、カート放棄が減るなど購入の後押しにもなります。
◯ブランドイメージの向上
企業側の自信が現れるため、顧客に「信頼できる」というイメージを持たせることができ、ブランドイメージが向上します。その結果、リピーターが増えたり、紹介などでの広がりも期待できます。
◯競合との差別化
同じような商品やサービスを展開している他社よりも「安心して買える」状態を作れれば、それが差別化となり、他社よりも選ばれやすくなります。
◯広告効果の増強
広告に「全額返金保証付き」や「◯日間無料体験」などの強いワードを入れることができるので、よりインパクトの強い広告イメージを制作することができます。その結果、クリック率や反応率を高めることができます。
◯顧客満足度が高まる
保証やサポートの充実で顧客が「自分を大事にしてくれている」という印象を持ちやすくなります。その結果、顧客満足度が高まり、長期的にリピート購入していただくことも期待できます。
[デメリット]
△悪用リスク
本来の目的と異なる形で返金・返品を繰り返す顧客が発生する可能性がある。
△コスト増加
返金や返品の処理にかかる物流費・人件費などのコストが増える場合がある。
△ブランド毀損の可能性
保証条件が不明瞭な場合、不信感やクレームにつながり、逆にブランドに悪影響を及ぼす。
まとめ
リスクリバーサルの効果を見てもわかるように、メリットも多いのですが、デメリットも存在します。
マーケティングの方法としてはとても強いですが、きちんと効果的に活用するにはメリットを最大化しながらデメリットをコントロールすることが重要となります。
また、自社の商品やサービスを購入しようと検討しているお客様がもっている不安は何か、どうしたらその不安を拭えるのかを突き詰め、サービスに転換していく必要があります。