コンテンツマーケティング
デジタルマーケティング

選ばれるブランド戦略の5つの視点:効果的なマーケティング設計の基本

選ばれるブランド戦略-メイン画像

お客様に選ばれるための戦略思考―マーケティングの本質を考える

「なぜ自社の商品やサービスが選ばれないのか?」
「どうすれば、より効果的な販促活動ができるのか?」

こうした悩みは、多くの企業、特に中小企業の広報・販促担当者が抱えるものではないでしょうか。

今回のコラムでは、選ばれるブランドになるための戦略設計において押さえるべき5つの視点をご紹介します。この5つの視点は、あらゆるマーケティング活動の基盤となるものです。

視点① 誰に届けるのか(ターゲット)

マーケティングの第一歩は、メッセージを届ける相手を明確にすることから始まります。

メッセージは「誰か一人」を想定することから

「できるだけ多くの人に届けたい」という気持ちから、ターゲットを広く設定しがちですが、実はこれが「誰にも響かない」メッセージを生む原因になります。

私たちがウェブサイトやパンフレットなどの制作で常にお伝えしているのは、まず「誰か一人」の具体的な顧客像を思い浮かべることの大切さです。その一人の心に響くメッセージを考えることで、結果的に多くの人々の共感を得られるコンテンツを生むことができます。

効果的なペルソナ設計のポイント

ターゲットを具体化するには、理想となる顧客像(ペルソナ)を設定することが効果的です。
当社では、お客様のウェブサイト制作やカタログ制作の際に、次のような視点からペルソナ設計をサポートしています。

  • 基本属性だけでなく、価値観や悩みを描く
  • 現状(Before)と理想状態(After)の変化を具体的に描く

事例:精密機器メーカーの採用サイト

ある精密機器メーカーの採用サイトでは、「理系大学生」という一般的なターゲット設定から、「ものづくりの面白さを追求したい一方で、安定した環境も大切にする工学部4年生の山田さん」という具体像に絞り込みました。
「研究開発の自由度」と「長期的なキャリアパス」の両方を求める山田さんの視点に立ち、ユニークな社内プロジェクト事例と安定した成長実績の両面を伝えるサイト構成に。
結果、応募者の質が向上し、入社後のミスマッチも減少しました。


【今後の詳細コラム予告】「ペルソナ設計の実践ガイド」にて、より詳しい手法をご紹介予定

 視点② 何を届けるのか(提供価値)

次に重要なのは、お客様に届ける「本当の価値」を明確にすることです。

お客様が本当に求めているものは何か

商品やサービスそのものは、実はお客様の目的を達成するための「手段」に過ぎません。お客様が本当に求めているのは、それを通じて得られる「変化」や「体験」です。

例えば、高級腕時計を購入するお客様は、単に「時間を知る」ためだけにお金を払っているわけではありません。そこには「ステータス」や「自己実現」といった深い価値があります。

提供価値を明確にする3つのステップ

当社では、クライアント企業の提供価値を明確にするため、次の3つのステップで整理していきます:

  1. 本質的ニーズの特定:お客様が表面的に言うことではなく、根底にある本当のニーズは何か
  2. 価値の言語化:なぜお客様がお金を払うのか、具体的にどんなメリットがあるのか
  3. 変化の具体化:商品・サービス利用前と後で、お客様の生活や仕事にどんな変化が生まれるか

印刷物やWebサイト、動画などのクリエイティブ制作において、この「提供価値」が明確になると、伝えるべきメッセージも自ずと絞られてきます。大切なのは、その提供価値を様々な表現方法で効果的に伝えることで、お客様の心に響くコミュニケーションを実現することです。


【今後の詳細コラム予告】「お客様が本当に求める価値とは?」にて、より具体的な手法をご紹介予定。

視点③ どんな選択肢と戦うのか(競合の理解)

マーケティング戦略を考える上で見落とされがちなのが、「競合」の視点です。ここでいう競合とは、単に同業他社だけではありません。

3つのタイプの競合を理解する

効果的なマーケティング戦略を立てるには、次の3つのタイプの競合を理解することが重要です。

  1. 直接競合:同じ商品・サービスを提供している他社
  2. 間接競合:同じカテゴリで異なる商品・サービスを提供する企業
  3. 代替競合:同じニーズを満たす全く別の手段

例えば、ある会社がウェブサイト制作サービスを検討する場合、直接競合は様々なウェブ制作会社ですが、間接競合としてはWixやWordPressなどのWebサイト構築プラットフォームを使用した内製、代替競合としては自社でのSNS活用や展示会出展などの別のマーケティング手段も選択肢に入ります。

顧客目線での競合分析

競合を正しく把握するためには、常に「お客様がこのニーズを満たすために、他にどんな選択肢を検討しているか」という視点で考えることが大切です。

当社では、クロスメディア戦略の提案時に、このような幅広い競合分析を行い、各メディア(印刷物、Web、動画など)の特性を活かした差別化戦略をご提案しています。


【今後の詳細コラム予告】「競合分析の視点」にて、具体的な分析手法をご紹介予定。

視点④ なぜ選ばれるのか(自社の強み)

競合との比較の中で、自社の強み、つまり差別化ポイントを明確にすることが次のステップです。

本当に意味のある差別化とは

差別化というと「他社にないもの」を探そうとしがちですが、重要なのは「お客様にとって意味のある違い」を見つけることです。単に「違い」を作っても、それがターゲットにとって価値がなければ意味がありません。

競合と一線を画す多様な差別化戦略

市場で独自のポジションを確立するには、様々な角度からの差別化が考えられます。経営戦略の視点から見ると、主に以下のようなアプローチがあります。


【商品力で勝負する】
競争の基本は、まず商品・サービス自体の魅力を高めることです。例えば:
・「最上級の素材と職人技」による他社を圧倒する品質
・「誰でも10秒で操作できる」といった使いやすさの追求
・「注文から最短30分で配送」などの圧倒的なスピード対応

【顧客ターゲットを絞り込む】
すべての人に向けるより、特定の層に特化することで選ばれる理由を作ります。
・「中小企業専門のITサポート」のような業種・規模特化
・「シニア向けスマホ教室」などの年齢層特化
・「女性起業家に特化したコンサルティング」など、ニーズ特化

【関係性の質を高める】
商品以外の部分で差をつける方法も効果的です。
・「専任スタッフによる伴走型サポート」でつながりを深める
・「お客様の声を反映した商品開発」で信頼関係を構築
・「感動ストーリーやキャラクター」で情緒的なつながりを作る

【提供方法を工夫する】
同じサービスでも、届け方を変えることで新たな価値を生み出せます。
・「24時間いつでも相談可能」など、時間の制約を取り払う
・「オンラインとオフラインの組み合わせ」による選択肢の提供
・「サブスクリプション型」など、新しい料金体系の導入

【特定シーンに特化する】
あらゆる場面ではなく、特定の状況に絞り込むことも差別化になります。
・「朝の通勤時間専用の学習コンテンツ」
・「出張先のビジネスパーソン向け」サービス
・「入学シーズン限定の写真撮影プラン」

重要なのは、これらの差別化戦略を単独ではなく、自社の強みを活かした組み合わせで展開すること。そして何より、その差別化が本当にお客様にとって価値があるかを常に問い続けることです。


【今後の詳細コラム予告】「選ばれる理由を創る」にて、各パターンの詳細をご紹介予定

視点⑤ どう伝えるのか(コンセプトとメッセージ)

最後に、これまでの4つの視点を統合し、一貫したコンセプトとメッセージを創り上げることが重要です。

コンセプトとキャッチコピーの違い

多くの企業で混同されがちなのが、「コンセプト」と「キャッチコピー」の違いです。

コンセプトは事業の方向性を示す「羅針盤」のようなもので、提供価値の本質を端的に示したものです。長期的に一貫して機能することが重要です。

一方、キャッチコピーはコンセプトを伝えるための表現手法の一つで、注目を集め、記憶に残すことを目的としています。

統合されたメッセージを創る

当社では、クリエイティブ制作の過程で、これまでの4つの視点(ターゲット、提供価値、競合、強み)を統合した「コンセプト」を設計し、それをもとにした効果的なメッセージングをご提案しています。

印刷物、Web、動画など、それぞれのメディア特性を活かしながらも、一貫したコンセプトとメッセージでお客様に届けることで、ブランドの記憶と理解を促進します。


【今後の詳細コラム予告】「心に刺さるコンセプト設計:ブランドメッセージの創り方」にて、具体的な設計プロセスをご紹介予定。

 

5つの視点を統合したブランド戦略

これら5つの視点は、個別に考えるのではなく、相互に連動するものとして捉えることが重要です。一貫性のある戦略設計により、印刷物からWebサイト、動画、さらにはSNSなど、あらゆる接点で統一されたブランドメッセージを届けることができます。

当社では、クリエイティブ制作の各フェーズで、これら5つの視点を押さえた戦略的なアプローチを取り入れています。単なる「見た目の良さ」だけでなく、「成果につながるデザインと表現」を追求しています。

今後、このコラムシリーズでは、各視点についてより詳しく掘り下げていきます。次回以降もぜひご期待ください。

選ばれるブランドづくりでお悩みの方は、ぜひ一度お問い合わせください。貴社の強みを活かした、効果的なブランド戦略と販促活動のお手伝いをいたします。

 ご相談・お問合せ

コラムの一覧へもどる